「プログラミングを活かした就職先を悩んでいる」
「プログラマーになると将来どうなるのか?」
そんな不安を抱えている学生は多いと思います。
そこで、大手のウェブ企業で部長を務めていた僕が、就職先を決める前に確認しておくべき3つのチェックポイントをお伝えします。
3つのチェックポイントとは
- 方向性確認
- 近い未来どうなるか
- 5年後どうなるか
という3点です。
30歳で大手IT企業に転職し、毎日数千万人が使うサービスの部長を務めた経験から実態に即してお伝えします!
1. 方向性確認:失敗しない「プログラマーの種類」選び
プログラマーの市場価値は高い
まず、感覚でだいたいわかるかもしれませんが2023年現在、プログラマーの市場価値は高いです。
経済産業省の試算によると、IT関連の人材は2030年には16万人から79万人不足すると言われています。
2023年現在はというと約38万人不足する試算になっているのですでにIT人材は不足している、ということになります。


* 引用:IT人材白書2020/独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター
ここでいうIT人材とはサービスを作る企業における人材と、そのサービスを活用する企業における人材を含めたものです。
つまり、「Googleでゴリゴリプログラムを書いている人材」も「社内に業務用パソコンを配布して管理する情報システム部の人材」もひっくるめて最大で79万人足りなくなるということです。


では、プログラマーの需要はというと、人材派遣会社やプログラミング教室の調査結果など「プログラマーは需要がある」と主張したい方々の少し偏った調査結果しかないので「これくらい需要がある」という正確なところを出すのは難しいですが、dodaにあるプログラマーの募集件数は35,479件(2023年3月6日現在)と募集が多いことからも、少なくともこの先何年かはプログラマーの需要は高いと言っていいと思います。


僕が務めていた某大手IT企業でも常にプログラマーが不足している状態でした。
そのため、時期にもよりますが採用担当者は月に2、3回は採用面接をしていました。
誤解がないように補足しますが、採用「面接」をしていたのであって、実際に採用まで行くのはごく一部です。
採用側が落とすというパターンもありますが、報酬の折り合いがつかずに辞退というパターンもあります。
採用の基準や年収に関してはこの先でも触れたいと思います。
ここまでのまとめ
- プログラマーの需要は当面高い
何系のプログラマーになるか
ところで、ひとことに「プログラマーになる」と言ってもプログラマーには様々な種類があります。
- アプリ開発プログラマー
- ウェブ開発プログラマー
- 組み込みシステム系プログラマー
- ゲーム系プログラマー などなど
何系のプログラマーになるかはどんな企業でどんなサービスに携わりたいかによって決まります。
例えば、
ゲーム会社でゲームを作るプログラマーになりたい!
という希望の場合は「ゲーム系プログラマー」を目指すことになりますが、
ゲーム会社でプログラマーとして働きたい!(ゲームの開発に直接携わるかにはこだわりはない)
という、やや広めの要望でしたら必ずしもゲーム系プログラマーである必要はありません。
例えばゲーム会社にはプロモーションなどで使うウェブページを管理している部門もありますし、社内のシステムを管理している部門も必ずあります。
となると、例えゲーム会社であっても「ウェブ開発プログラマー」や「社内システム管理プログラマー」を募集するケースも往々にしてあり、就職先の企業にこだわるのであれば選択肢は少なからず広がることになります。
就職先や就職後にどんな業務に携わりたいかを具体化していくと目指すべきプログラマー像が見えてくると思いますが、急に具体化するのは難しいです。
そこでまずは、どんな企業がどんなスキル(=プログラミング言語)を必要としていてその難易度はどんなものかを次の節でみていきましょう。
ここまでのまとめ
- ひとことにプログラマーと言っても様々な種類がある
- 就職先や携わる業務を具体化できると目指すプログラマー像が見えてくる
就職先にマッチしたプログラミング言語を確認
すでにプログラミングを学習している方ならプログラミング言語には複数の種類があり、言語による特性があることはご存知かと思います。
以下主なプログラミング言語と、それを利用している製品やサービスをまとめます。
名称 | 得意分野 | この言語を主に利用する製品やサービス |
---|---|---|
JavaScript | Webサービス | Google、Yahoo!、AmazonなどWebサービス全般 |
PHP | Webサービス | Facebook、Wikipedia、Slack、ぐるなび、一休など |
Ruby | Webサービス | クックパッド、Airbnb、Gunosyなど |
Java | 全般 | Twitter、EVERNOTE、楽天、Minecraftなど |
Python | AI(人工知能) | Amazon、Dropbox、Netflix、YouTubeなど |
Go | 全般 | AWA、ぐるなび、Wantedlyなど |
Swift | iOSアプリ | iPhoneアプリ全般 |
Kotlin | Androidアプリ | Androidアプリ全般 |
C# | ゲーム | Bing、トレンドマイクロ、価格.com、各種ゲームなど |
Scala | 全般 | Twitter、ChatWorkなど |
C++ | ゲーム | 家庭用ゲームなど |
R | AI(人工知能) | Google、Facebook、DeNA、ドリコムなどがユーザー分析用途で |
あなたが得意とするプログラミング言語とあなたが行きたい企業はうまくマッチしているでしょうか?
「ゲームを作りたいけどC++なんて勉強したことない」
「アプリ開発をしたいけどウェブの知識しかない」
というようなケースもあると思います。
そういったケースの場合は3通りの解決策があります。
- 別の形でそのサービス・製品に関わる
- 該当する言語の習得が必須ではない、社内研修が充実している企業を選ぶ
- 必要となる言語をこれから学ぶ
1に関しては前述の通り、あなたが貢献できる部分でサービス・製品に関わるというやり方です。
2に関しては企業の研修に頼るというものですが、良くも悪くもその企業色に染まってしまい「他に転職するときに困る」という状態になる可能性はあります。とはいえ社内の技術やお作法はいずれにしても知らなければならないことなので、社内研修制度が充実しているに越したことはありません。
そして、時間が許すのであれば新たに学び直すという手もあります。
言語ごとの習得の難易度については次節で後述するので参考にしていただければと思います。
ただし、何よりも先に気をつけなければいけないのは
その企業が必要としているスキルは、本当にあなたの思っている通りのものか?
ということです。
企業に狙いを定めて言語を学び直したら
「去年システムのリプレイスがあって、もうそれ使ってないよ。
ああ、でも、それ使えるなら残処理が残ってるからそっちのチームに入ってほしいな。」
というようなことにならないとも限りません。(それでも入社できればいいという選択もありますが)
大事なことは、就職したいサービスや企業に目星をつけたら正確な情報を仕入れることです。
企業の公式サイトの情報確認や企業説明会での確認は必須ですし、大学のOBと話す機会があれば内情を聞いておくといいです。
大学のOBがいないような場合はSNSを使って凸るのもいいと思います。
自分の勤める会社に興味を持ってもらえるのは嬉しいことなので、人にもよりますが意外と親切に教えてくれると思います。
ただ、上記方法の場合、質問相手が詳しくなかったり、知ってはいるけど「どこまで話していいか」判断がつかないケースもあります。
その観点で、就職のエージェントに相談してしまうのが正確でありかつ速いです。
就職のエージェントは複数ありますが、業界によって事情が異なるため、ITを専門に扱うエージェントを選ぶべきです。
就職エージェントにお金を払うのは学生ではなく企業なので、学生は利用しないと損です。
- 学生はキャリアアドバイザーの利用やイベント参加等無料
- 大手、ベンチャー、スタートアップまでカバー
- 学生一人ひとりに専任のアドバイザーがつき、希望すれば何度も面談可能
ここまでのまとめ
- 企業をよく知ってから動き始めるべき
習得難易度
もしこれから新たに言語を学ぶかを検討する場合、
それぞれのプログラミング言語における難易度を表にしてみたので下記をご覧ください。
- HTML
- JavaScript
- Python
- php
- C#
- Swift
- Go
- Ruby
- Java
- TypeScript
- Perl
- Kotolin
- R
- C++
上記のランキングはプログラミング言語に関してまとめている世界のサイト計12サイトから収集した情報を元に集計したものです。
これはあくまでも言語習得の話なので、その言語を使って作るものの難易度はまた別の話ということはご認識の通りです。
廃れない言語を選択すべき
上表の中で一番歴史が古いのはC++、一番新しいのはSwiftですが、新しいからといって人気、古いからといって不人気というわけではありません。
ここには列挙されていないプログラミング言語も多数あり、中にはもうほとんど使われていない言語もあります。
その観点で気をつけなければいけないのは今後使われなくなることが見えている言語を選択してはいけない、ということです。
例えば、iPhoneが登場した時のiOSアプリの開発はObjective-Cという言語一択でしたが、その後Swiftが登場したことでObjective-Cの需要は落ちています。(僕も勉強しました・・)
じゃあ上表の中でニーズの高い言語はどれなのか?ということになりますが、
レバテックにて、それぞれのプログラミング言語の求人数をまとめてみました。
結果は下記の通りです(2023年3月8日現在)
()内が求人数、1つの求人で複数の言語の指定がある場合もそれぞれの言語に加算
- Java(1,344)
- JavaScript(928)
- PHP(877)
- Python(870)
- C#(606)
- Ruby(422)
- TypeScript(405)
- HTML(383)
- C++(332)
- GO(253)
- swift(202)
- kotlin(181)
- R(56)
- Perl(31)
Javaは汎用性が高い言語なので人気が高いです。
そしてウェブ系のJavaScript、PHPと続いて、
人工知能関連で最近人気が高いPython、主にゲームプログラミングに利用するC#と続いています。
今後IT界隈にどんな動きがあるのかは誰にもわからないところですが、
募集が多い言語は現在もこれらの言語で開発が行われているということです。
ということは、仮にこれらの言語に置き換わる新しい言語が発表されたとしてもすでに現時点で開発しているものがあるので一定期間はメンテナンスや差し替えでやはりこれらのプログラミングスキルは必要になるはずです。
よってこれらの言語はこの先数年は需要が急激に落ちることはないと言えます。
プログラマーとして何を作りたいか
上記の表の中で一番重要なのは、どんな企業に就職したいのか?どんなサービスや製品を作りたいのかによって必要となるスキルが変わってくるということです。
例えば「アプリを開発したい!」と思ったらSwiftやKotlinのスキルが重宝されますし、「データを使ったユーザー分析をしてみたい」のであればRやPythonを習得すると有利に働きます。
ただし、上記にまとめられているのはあくまでも「主に利用する」である点に注意してください。
例えば僕が務めていた企業では開発チームやプロダクトごとに複数のプログラミング言語を使い分けていました。
上表のFacebookを見ていただくと、PHPとRの両方に名前があります。
- Facebookページの開発にはPHP
- ユーザー分析にはR
- iOSアプリ開発にはSwift
- Androidアプリ開発にはJAVAかKotrlin
と言った具合に目的に沿って言語を使い分けているケースが往々にしてあります。
また、企業の統廃合やシステムの刷新などによって利用する言語が変わっていた、という事もありえます。
希望するサービスに狙いを定めてからプログラミング言語を習得する場合は注意してください。
ではどうすればいいか?というと、行きたい企業やサービスが決まったタイミングでリアルタイムに利用されているプログラミング言語を確認するのが一番確実です。
対象となる企業に知り合いがいる場合や、TwitterなどのSNSでその企業の社員を見つけたら聞いてみれば教えてくれるかもしれません。
また、どんな部門の募集が多いのか、採用の傾向なども確認するなら就職エージェントに探りを入れてもらうのが確実です。
就職エージェントに相談する場合はプログラマーの就職に強い専門のエージェントに相談するのがおすすめです。
- 学生はキャリアアドバイザーの利用やイベント参加等無料
- 大手、ベンチャー、スタートアップまでカバー
- 学生一人ひとりに専任のアドバイザーがつき、希望すれば何度も面談可能
ここまでのまとめ
- どんな企業やサービスに関わりたいかで習得すべき言語が変わる
- 就職希望先が未定ならば、需要が多く廃れないプログラミング言語を狙って習得すべき
プログラマーの年収は?
僕は新卒の就職の際、
「好きなことをやって社会に貢献できれば、俺はそれでいいぜ!」
とばかりに就職先の年収や福利厚生をまったく気にせずに決めました。
そういう気持ちは尊い、と今でも思いますが、一歩間違えたら大変なことになっていたかもとも思います。
知っていて気にしないことと、知らないことは全く別なのでプログラマーの年収についてはある程度知っておきましょう。
「プログラマー 年収」
で検索するとさまざまなページでプログラミング言語ごとの年収が紹介されていますが、データの出所が不明だったり情報が古かったりするので独自に調査してみました。
詳細が気になる方は下記の記事をご覧いただければと思いますが、結論だけ見たい方は先にお進みください。
言語 | 中央値 | 最小提示額 | 最大提示額 |
---|---|---|---|
Go | 700万円 | 240万円 | 1900万円 |
R | 652万円 | 300万円 | 1500万円 |
Kotlin | 650万円 | 240万円 | 2000万円 |
Ruby | 650万円 | 240万円 | 1900万円 |
TypeScript | 650万円 | 250万円 | 2000万円 |
Swift | 628万円 | 216万円 | 2000万円 |
Python | 625万円 | 240万円 | 2000万円 |
Java | 600万円 | 216万円 | 2000万円 |
JavaScript | 600万円 | 216万円 | 2000万円 |
C++ | 598万円 | 240万円 | 2000万円 |
php | 596万円 | 216万円 | 2000万円 |
C# | 575万円 | 240万円 | 2000万円 |
HTML | 575万円 | 216万円 | 1668万円 |
Perl | 575万円 | 300万円 | 1140万円 |
プログラミング言語ごとの年収に関する調査結果によると一番年収が高いのはGo(ゴー)、ついでR(アール)、Kotlin(コトリン)と続きます。
これだけ見ると、
とりあえずGoをマスターするとお得かも
という気になるのですが、
これから勉強するのであれば学習コストも考慮すべきです。
これから勉強する上でコスパのいい言語
もしこれから新たな言語を勉強するなら、その言語のコスパを確認しておきましょう。
「FIRE 最強の早期リタイア術」の著者であるクリスティー・シェンさんは、早期リタイアのための元手となる資金を稼ぐためにもっとも効率的な職業をPOTスコアを使って割り出し、見事に30歳で早期リタイアを達成しました。
POTスコアとは、各職業の「学習コストに対する給与をスコア化したもの」です。
これと同じようにこれから勉強する上でコストが安くすみ、収入も多いプログラミング言語をあぶり出そうということです。
結果は下記の通りです。


詳しい説明は別記事をご参照いただければと思いますが、
上記の図では縦に年収、横に習得の難易度を取っており、円の大きさで実際の求人の数を表しています。
結論としては、下記の言語を選ぶのがコスパが良いといえます。
これから学習する上でコスパが良い言語
- HTML
- JavaScript
- Python
- php
- C#
- Go
- Java
ここまでのまとめ
- プログラマーの年収は言語により傾向がある
- これから学ぶならコスパのいい言語を選ぶべき
2. あなたに訪れる近い未来:プログラマーどんな1日?どんな1週間?
続いてプログラマーになったらどんな1日を送りどんな1週間なのか、あなたに訪れる「近い未来」を紹介したいと思います。
プログラマーの1日


あえてハードな日をまとめてみました。
こんな日もあります。
特に24時間365日稼働しているサービスを運営するサービスのプログラマーになると、何かトラブルが発生した時に土日だろうが深夜だろうが対応が求められることがあります。
これは宿命なので避けることはできませんが、そういった対応が発生した時に休日手当や深夜残業手当が支給される企業を選ぶことは大事なことです。
また、いつ呼び出されるかわからない日常を送るのはストレスなので、例えば休日の緊急連絡は当番制など、体勢がしっかりとした企業を選べるとなお良いです。
とはいえ、この辺りの環境の整備は大手の企業でも意外に整っていなかったりするのが実情です。
僕自身はどうだったかというと、部長という役職だったこともあり、
- ウォーキングに行く時も、友達と飲みに行く時もパソコン携帯
- 深夜だろうが早朝だろうが、slack(メッセージ)や電話着信は全部受ける
- トラブル発生時には最後まで居る
という、大統領秘書官みたいな(?)生活をしていました。
では現場のプログラマーはどんな状態だったかというと、リーダークラスのプログラマーは「可能な限り連絡がつくように」というルールでした。
そのほかのプログラマーは「緊急時は誰か気づくはず」という若干緩めなルールだったのですが、
それでも回っていたのは人数が多かったことやリーダークラスのプログラマーが優秀だったからだと思います。
仮にそれでうまくいかなかったら体制変更(例えば緊急連絡の当番制)などが検討されたと思います。
プログラマーの1週間
ハードな日もあればゆったりした日もあるプログラマーの1日ですが、どんな1週間を送るかの1例を紹介します。
これは就職先の企業が運営しているサービスや運営体制によって大きく変わりますので1例と考えてください。


オレンジ色はチームでの業務、青は個人での業務です。
ここで挙げた例は「スクラム開発」で開発を行う場合の1週間のイメージです。
- 計画する
- 開発する
- ふりかえって改善する
という流れを短い周期で繰り返す手法で、新しいサービスを作る場合などにマッチしやすい取り組み方です。
1週間が1周期になっていますが、これを2週間単位にして「計画とふりかえりは隔週」というケースもあります。
いずれにしても「これが典型的なプログラマーの1週間。これ以外ない!」というものはありませんが、個人での開発とチームとの連携を繰り返していくスタイルはどんな組織でも同じです。
よく「コミュニケーション能力が必要」と言われるのは、チームとの連携が必ず必要になってくるからです。
ここまでのまとめ
- トラブル対応はプログラマーの宿命
- 個人業務とチーム業務を繰り返す
あなたが選ぶ3年後:プログラマーの未来の描き方
ここまでのお話で、プログラマーになるために考えておくべきことや、短期的な未来はある程度イメージできました。
では、長期的な目線ではどうでしょうか?
目下の目標は「未経験でプログラマーになること」だとしても、例えば3年後、10年後はどうなっていくのでしょうか?
ということで、これまで実際に見てきたプログラマーの定番コースをまとめていこうと思います。
プログラマーの定番のコースは大きく分けて4つあります。


(1)社内で活躍パターン
1つ目はそのまま社内で活躍していくパターンです。


「一度就職したらその企業にずっと勤め続ける」ということはあまりないと思いますが、一旦腰を据えて就職先の企業である程度のキャリアアップを進めていくのがこのパターンです。
前項でもお話しましたが、プログラミングは個人プレーとチームプレーの繰り返しなので、
自ずとチームをまとめるリーダー的な存在が必要になってきます。


プログラマーになってから最初に訪れるキャリアアップのチャンスはリーダー的なプログラマーになることです。
企業によって「リードプログラマー」「開発リーダー」「主任」など、呼び方は様々ですが、リーダー的なプログラマーになるための条件は次のようなものです。
- プログラミングの経験や知識が豊富
- チームをまとめるリーダーシップがある
- 他のチーム、他の職種と交渉することができる
僕が務めていた企業ではだいたい3年〜5年くらいでリーダー的なプログラマーになれました。
「なる」ではなく「なれる」と言ったのは「なりたくない」というケースも往々にしてあるからです。
なりたくない理由は人それぞれですが、
責任が増えるのは嫌だし、プログラミング以外に時間を割くのは嫌だ(プログラミングが好きだから)
という声がよく聞かれていました。
ですが、リーダー的なプログラマーになり「主任」や「チームリーダー」「リードプログラマー」などの肩書きがつくと、自ずと収入は増えることになるのでここは各個人の選択によるところです。
そしてリーダー的なプログラマーがそのまま先に進んでいくと、作るものを設計する人になります。


いわゆるSE(システムエンジニア)です。
この領域にいくと自分ではプログラムをほとんど書かなくなります。
組織にもよりますが、リーダー的プログラマーと作るものを設計する人はイコールの場合もあります。
そして作るものを設計できるようになると、プロジェクト全体をまとめたり、複数のチームをまとめたりする存在になっていきます。
いわゆるPM(プロジェクトマネジャー)や、技術責任者です。


ちなみに「プロジェクト」という言葉はとても曖昧な言葉なのですが、
ここでは「複数のチームや複数のサービスにまたがって取り組む、期間限定の取り組み」のことを指します。
ここまでくるとサービスや製品にも直接的に影響を与える判断を自ら行えるようになります。
ところで「作るものを企画する人」というルートもあります。


これはプログラマーをやめて企画職やディレクションをする業務に転ずるというパターンです。
企画やディレクションとは具体的に下記のような業務です。
企画職
どんな製品やサービスを作るのか、データや時代の流れを読んで提案して推進していく。
カスタマーサポートとの連携や技術職のサポートなど、業務は多岐にわたる。
ディレクション
製品やサービスを世に出していくために、工程全体の推進をしていく。
ディレクション=監督なので、現場監督のようなイメージ。
僕がいた企業では20人に1人くらいはプログラマーから企画やディレクションに転じるキャリアを歩んでいました。
企業によっては企画職ではなく営業職の一環としての企画業務があることや、ディレクションはプログラマーの業務の中で吸収するパターンもあるので必ずしも職種として「企画」や「ディレクター」が存在するとは限りませんが、同じ企業にいながら職種を変えることで開発の知識もある企画職として重宝されることもあります。
ここまでのまとめ
- ゆくゆくはプロジェクトをまとめる存在になるのがキャリアアップの1つの手段
- 企業は移らずに職種を変えるパターンもある
(2)転職パターン
続いて、ある程度のスキルまで到達したら転職するパターンです。
今からプログラマーになろうという人にさらに転職の話をするのは気が早い気もしますが、キャリア形成の戦略の1つとして少し先を見ておくことはとても有意義なことだと思います。


転職する場合は使える言語よりもむしろ、担当していたジャンルや業務を固定した転職が多いです。
例えば、
- 地図アプリの担当をしていたから、天気アプリの会社に転職して地図表示の開発に携わる
- 動画配信サービスにいたから、エンタメ系のサービスに転職する
- ECサイトのユーザー分析をしていたから、実店舗がある企業のユーザー分析に転職する
といった感じです。
あなたがどんなジャンルに興味があるかも関係しますが、業務で培った知識や経験が使える言語以上に転職で強みになるということは大いにあります。そのため、どんなサービスやどんな製品に関わりたいのかの自己分析はある程度しておいた方がいいでしょう。
ちなみに、僕がいた企業では転職してきたプログラマーがすぐにリーダー的なプログラマーになることはほとんどありませんでした。


例え転職前に凄腕のリーダー的プログラマーだったとしても新しい環境に順応できるかは別の話なので、半年ほどは一般のプログラマーと一緒に業務をし、「期待通りやってくれそうだな」と見極められたらまとめ役になる、という流れが定番でした。
とはいえ転職すると年収が下がるというわけではなく、一定期間役割が限定的になって様子を見られることがある、ということです。
ここまでのまとめ
- プログラマーとして担当したジャンルや業務が転職の武器になる
(3)フリーランスパターン
続いてはフリーランスになるパターンです。


ある程度実力がついたのでフリーになり、自分でお客さんを見つけて開発の対価をもらうスタイルです。
副業が許される企業では本業の傍ら副業をして、それが軌道に乗ったらフリーになるパターンもあります。
そしてフリーランスでの活動が上手くいくと、仲間を集めて少し大きな案件を受注し、気づけば会社になっていたというパターンもよく耳にします。SIer(エスアイヤー)起業というのはそのパターンのことです。
SIer(エスアイヤー)
「システムインテグレーター」のことで、企業から請け負って開発やメンテナンスを行う企業
SIerの起業はもともと企業で働いていた時のお客さんから別の案件や企業を紹介してもらい、だんだん案件を大きくしていくパターンが王道の流れです。
僕の友人もSIerになったプログラマーは結構いて、羽振りが良さそうなSNS投稿をよく目にします。
他の業種と違って初期投資がほとんど必要ないので失敗したとしてもダメージが少ないのも魅力ポイントですね。
ここまでのまとめ
- 企業で培ったスキルを利用して副業したり、フリーランスに転身したりする選択肢もある
- フリーランスがうまくいけばその路線での起業も可能
(4)起業パターン
最後は独自のサービスを作って起業するパターンです。


これに関しては進め方は千差万別です。
個人でゲームアプリを開発して毎月数百万円の収益が出ていた知人(彼はそれでも会社を辞めませんでした)や、必要な人材を集めて新しいwebサービスを始めるようなパターンもあります。
そして、プログラマーになったら必ずと言っていいほど体験するのが
こんなアプリ一緒に作らない?
という誘いです。
この手の誘いはプログラマーであることを周知すると昔の友達や職場の人から持ちかけられることがよくあります。
最近では起業においてITの知識はマストと言っていいので、これから起業するというシーンでもプログラマーは需要が高いです。
仲間がいた方がいいですし、必ずしも自分自身が起業をリードする必要はないのでいいプランであれば乗っかるのもありです。
この辺りは運の部分もあるので、いずれは起業したいという思いがあるのであれば、企業でプログラマーをしながら自分のサービスを密かに育てているというパターンが進めやすい方向性なのではないでしょうか?
ここまでのまとめ
- 起業においてもプログラマーの需要は高い
- 仲間とスタートする場合も個人でスタートする場合も企業に勤めながら準備するのが良い
まとめ
これからプログラマーになろうという方向けにお話してきました。
総括すると下記のように進むのがおすすめです。
- どんな企業、サービスに就職したいのかを自問自答してみる
- その企業、サービスへの就職に必要なスキルを含め、就職エージェントに相談する
- 必要に応じて言語を勉強する
- 学生はキャリアアドバイザーの利用やイベント参加等無料
- 大手、ベンチャー、スタートアップまでカバー
- 学生一人ひとりに専任のアドバイザーがつき、希望すれば何度も面談可能
何か疑問点があればコメント欄で教えてください。
参考リンク
この記事を書くために参考にさせていただいた記事です。
・世界中で人気なJavaの魅力とは?言語の特徴や将来性などもあわせて解説, https://type.jp/et/feature/16961/
・Pythonで開発されたWebサービス7選【できることや使うメリットも解説】, https://runteq.jp/blog/programming-school/language/13186/
・Goで開発されたWebサービス国内事例5選&海外事例4選【学習方法やメリットも解説】, https://runteq.jp/blog/programming-school/language/12785/
・国内大手サービスでも使われているC#でできること, https://crowdtech.jp/blog/2727/
・R言語の特徴・できること・メリット、Pythonとの違いから年収・求人まで徹底解説, https://www.bigdata-navi.com/aidrops/1978/
・Ruby on Railsとは?Rubyで作られたサービス10選や何ができるかを解説, https://tech-camp.in/note/technology/40581/
・Go言語(golang)とは? 特徴・できること・将来性を徹底解説, https://tech-stock.com/magazine/what_is_golang/
・Python(パイソン)は意外な誕生秘話を持った言語, https://freelance.techcareer.jp/articles/wp/skills/python/detail/550/
・HTMLを理解する!初心者でも分かる歴史、できること、基礎知識などを簡単に解説!, https://anken-hyouban.com/blog/2020/08/01/html/
・Scala(スカラ)とは?言語の特徴や開発手法、Javaとの違いや共通点について解説!, https://hnavi.co.jp/knowledge/blog/scala/