2023年3月23日にChatGPTのプラグインが発表され、大きな話題を呼んでいますが多くの人が「wait list」に登録して使えるまでの順番待ちをしている状況です。ChatGPTは開始から2ヶ月で月間1億ユーザーを獲得しており、月額$20を払っているユーザーから優先的に利用可能になっていくようなので、広く行き渡るまでにはまだ時間がかかりそうです。
今回は公式で初期から公開されている11個のプラグインについて深掘りしていきたいと思います。
プラグインがどんなものなのかは日本語化した動画と一緒に別の記事にまとめたのでぜひご覧ください。
11個の初期のプラグイン
プラグインを利用できるようになるとプラグインストアからプラグインをインストールできるようになりますが、プラグインストアに並ぶ初期のプラグインは下記の11個です。


「予約」「買い物」「ツール」「学習」「データ」とカテゴリ分けをしてみたのでなんとなく利用のイメージはつくと思いますが、主に英語圏のサービスがベースになっているのであんまりピンとこない部分があります。
そこで、日本向けに提供されているか(ローカライズされているか)、日本のサービスで言うと何に該当するかを割り当ててみようと思います。
プラグインのサービス | 日本へのローカライズ | 日本のサービスに置き換えると |
---|---|---|
Expedia | あり | 楽天トラベルなど |
KAYAK | あり | エアトリ、トラベルコなど |
OpenTable | あり | 食べログ、ぐるナビなど |
Klarna Shopping | なし | 価格コムなど |
Instacart | なし | ネットスーパーなど |
Shop | なし | 楽天など |
Milo Family AI | なし | ??? |
Wolfram | あり | ??? |
Zapier | なし | ??? |
Speak | あり | ??? |
FiscalNote | なし | ??? |
エクスペディアなどすでに日本でも馴染みがあるサービスもありますが、特に後半の5つに関してはピンとこないです。
そこで後半の5つについて少し深掘りしようと思います。
ピンとこないChatGPTのプラグイン1「Speak」
ChatGPTのプラグインストアでのSpeakの説明は
AI を活用した言語チューターである Speak を使用して、別の言語で何かを話す方法を学びましょう。
となっています。
もしかしたら先日試してみたChatGPTを利用した英会話と近いものかもしれません。
早速サービスを探してみたところ、すでに日本に上陸していました。
こちらから利用できます。


説明によると、
待ち時間が圧倒的に少なく自然でスムーズな会話をAIで実現しました。そのため、他のアプリと比べてスピークユーザーは約10倍ものアウトプットをすることができます。(自社調べによる)
https://www.speak.com/jp
とのことで、利用者が発話することに重きを置いているようです。
さらにAI的な特徴としては日本人用にカスタマイズされているようです。
https://www.speak.com/jp日本人の発音に最適化
これはちょっと試してみたいですね。
すでに日本でもサービスを始めているということはChatGPTのプラグインが行き届いた時に私たちも利用することができるようになるサービスの1つだと思います。
ピンとこないChatGPTのプラグイン2「Wolfram」
「ウルフラム」と読むようですが、プラグインストアでの説明は、
Wolfram|AlphaおよびWolfram言語を介して、計算、数学、精選された知識、およびリアルタイム データにアクセスします。
と、ちょっとわかりにくいです。
簡単にいうと自然言語で複雑な計算ができるのがウルフラム・アルファです。
理系の方なら「Mathematica」という数学のアプリケーションを使ったことがある方もいるかもしれません。
Mathematicaを作ったのがスティーブン・ウルフラムさんで、ウルフラムさんが率いるチームが作っているのサービスがウルフラムアルファ、そしてそれを操るために作られたのがウルフラム言語です。
おそらく知る人ぞ知るサービスなのだと思いますが、日本には2018年に入ってきていました。
WolframAlphaの日本語版が遂にリリースされました!!https://t.co/EBt7QE5dv3
— Wolfram Japan (@WolframJapan) June 18, 2018
いろいろな数学の問題を入れて試してみてください。#WolframAlpha #ウルフラムアルファ pic.twitter.com/3ZIu7rLMHJ
このサービス自体はすぐに利用できるので興味がある方はこちらから利用してみてください。
僕もちょっと試してみたのですが、
プロンプト
8000歩、歩くと何キロカロリーになる?
と質問してみたところ、回答が得られませんでした。
ChatGPTに話しかける感覚だとダメですね(だからこそプラグインなのですが)。
ピンとこないChatGPTのプラグイン3「Zapier」
「ザピアー」と読みますが、プラグインストアの説明では
Google スプレッドシート、Trello、Gmail、HubSpot、Salesforce など、5,000 以上のアプリとやり取りできます。
となっています。
この説明でなんとなくイメージがつく方もいると思いますが、
- Googleフォームにお問い合わせ時に、受け付け完了の旨をGmailで送信
- 問い合わせ内容をGoogleスプレッドシートに保存
- 問い合わせがあった旨をSlackで通知
のようなことを自動で設定することができるツールです。
日本語化はされていませんが、日本からも利用することは可能です(こちら)。


このサービスは他のサービスと連携するためのサービスなのでChatGPTのプラグインとしてはとても強力になると思います。
要するに、
SlackはChatGPTプラグインに対応してないけどその仲介のZapierが対応しているからChatGPTとSlackが連携できる
といったことが可能になるということです。
ピンとこないChatGPTのプラグイン4「FiscalNote」
「フィスカルノート」と読むようですが、プラグインの説明では
法律、政治、および規制に関するデータと情報について、市場をリードする厳選されたリアルタイム データ セットへのアクセスを提供し、有効にします。
となっています。
どうやら法律系のデータベースのようですが、
調べてみたところすでにトヨタなどでも活用しているグローバルなサービスということがわかりました。
世界約40~50カ国の法律や政策、規制などを、AIを用いてアップトゥデイトでまとめるプラットフォームを展開するFiscalNote(本社・米ワシントンD.C.)。ネスレやトヨタ自動車など、名だたるグローバル企業をはじめ、世界中で約5000~6000社の最高法務責任者(CLO)や法務部が使うプラットフォームだ。
https://techblitz.com/fiscalnote/
法律系の話か。あんまりワクワクしない。
と思った方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、法律系のデータがChatGPTに連携されると、例えば
プロンプト
xxxのやり方を教えて
と聞いた時に
回答
こういうやり方があります。ただし、来年5月の法改正でこの方法は使えなくなります。
のような補足をしてくれたり、
回答
ただし、ミネソタ州、アイダホ州の州法では禁止されているので州を跨ぐ場合はご注意ください。
のような注意をしてくれるかもしれませんね。
それにしてもワクワクはしませんが(笑)、何か新しいことを始めようとする時などには身を守る手助けをしてくれそうですね。
ピンとこないChatGPTのプラグイン5「Milo Family AI」
「マイロ・ファミリー・エーアイ」と読むようですが、プラグインストアでは
ご両親の「大忙し」を魔法に変えるスーパーパワーを毎日20分ご提供。質問: マイロ、今日の魔法は何?
と説明されていました。
説明がエモすぎて個人的に1番謎だったのがこのサービスです。
日本には入ってきていないようなので情報もほとんどありません。
miloのサイトに行ってみると、サイトの説明も割と抽象的でした。


どうやら、
- ターゲット層:子育て中の親
- インプット:雑多なデータをMiloにぶち込む
- アウトプット:Miloが整理して必要な時にお知らせ
- どう嬉しいか:あまった時間を家族で過ごしてね
というコンセプトのサービスのようです。
デモがあったので日本語に翻訳したものを下記にまとめます。






データをとりあえずぶち込めば整理してくれるという点では会社員の業務の整理なんかにも使えそうですが、AIを使って家族との時間を増やすというコンセプトを大事にしているようですね。
はじめの11個でも十分便利になりそう
ここまでみてきたようにはじめの11個だけでも十分便利になりそうな予感です。
11個の中には日本にローカライズされていないものもあり、例えばInstacartは日本に配達員がいないと成立しないのですが、Zapierのように例えローカライズされていなくても使えそうなものもあります。
プラグインの提供がいつになるのかは見えていないところですが、どんな体験ができるかとても楽しみですね。